タイトル：動物病院便り2012年3月16日（4）
今日は猫やフェレットのフィラリア症について解説します。

▼猫にもフィラリアがあるの？と思われる方も多いでしょう。実は、フィラリアはすべて
の温血動物に感染することが確認されています。ただ、犬以外の動物では皮下に子虫が注
入された段階で、宿主の強力な免疫反応による攻撃で死んでしまい、心臓にたどり着いて
成虫になることが少ないのです。

▼猫やフェレットでは、この免疫反応が裏目にでて慢性あるいは急性の肺炎を起こすこと
が近年わかってきました。具体的には虫体が肺動脈などの血管を刺激して炎症を起こす、
虫を排除しようとして免疫機構が反応した結果、虫が急に死んで肺の血管に詰まる、死ぬ
時に体の成分が血中に放出され、これに対して強いアレルギー反応を起こすなどです。

▼フィラリアは犬とは昔から仲良く（？）暮らしてきた虫なので、体の表面の物質をうま
く使うことで犬の免疫機構をごまかして大量寄生し、犬の血管内で生き続けることができ
ます。しかし猫やフェレットとは出会ってまだ日が浅く、あまり仲良くできないのでまと
もに免疫機構の攻撃を受けてしまうのです。猫やフェレットではたった1匹の成虫が寄生
するだけでも、慢性の呼吸困難、咳の症状を呈したり、最悪の場合突然死することもあり
ます。少数寄生や雄虫のみの寄生の場合、既存の検出方法では検出しにくく、超音波やレ
ントゲンなどの画像診断が必要です。

▼気になる症状があるようであれば、一度精密検査を受けることをお勧めします。猫、
フェレット用のフィラリア予防薬もありますので、ぜひ予防してあげてください。

▼次回は犬の狂犬病とワクチンについてです。


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