2012年2月23日配信
タイトル：動物病院便り2012年2月23日（3-1）
ひと雨ごとに春が近づいてきていますね。いかがお過ごしでしょうか。

▼今日は犬のフィラリア症についてのお話です。犬のフィラリア症は、犬の飼い主さんな
ら一度は聞いたことのある病気ですね。でも実はフィラリアって何？といわれるとはっき
りご存じない方は結構多いのではないでしょうか。効果的に予防するためには正確な知識
を持つことが大切です。

▼まずフィラリアの感染サイクルについて解説します。犬のフィラリア症は、線虫の一種、
犬糸状虫により引き起こされます。この虫は雌雄で犬の心臓に住みつき、交尾してメスが
子虫を産みます。子虫は蚊が吸血する時に血と一緒に蚊に吸われ、蚊の体内で成長して感
染子虫になります。感染子虫は、蚊が別の犬を刺した時に蚊の唾液とともに犬の皮膚の下
に注入され、移動しながら血管にたどりつき、最終目的地である心臓に着くと成虫になり、
また子虫を産み始めます。フィラリア虫の寿命はかなり長く、７〜８年といわれています。

▼感染数が少ない場合、メスだけ、あるいはオスだけが寄生する場合があります。単性寄
生の場合は、子虫は生まれません。また、オスメスが寄生していても性成熟前であれば、
成熟するまでは子虫は生まれません。より精密な抗原検査をしてもオスだけが寄生してい
る場合、未成熟なメスしかいない場合は検出することができません。抗原検査は成熟メス
の出す分泌物を検出しているからです。このように、血液検査では検出できない感染をオ
カルト感染といいます。通常の検査では検出できないため、投薬すると犬が突然死するこ
ともあり、危険な状態といえます。

▼次回はフィラリアの症状と予防についてお伝えしていきたいと思います。ご期待ください。

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